2012年1月23日月曜日

検定試験の一つが終わり。

昨日ファイナンシャルプランナー3級試験が終わりました。
 試験に向けた準備不足は否めませんでした。
 仮にまぐれで合格しても、納得はいかないでしょう。
 前にも書きましたが、試験範囲が広すぎました。不動産から金融資産、社会保険や民間保険、相続や所得税。
 基本的に個人資産の保全に関する制度上のメリットを学ぶ試験ですから、あえて共通項をいうならば、6つの分野に及ぶ試験の共通点として税の控除に関するシステムが多くに絡んでいたとはいえるでしょうか。
 個人的に金融と民間保険以外は気になる範囲ではあったのですが、仮に税の控除システムならば、なぜそのようなシステムが構築されたのかが分からぬまま、ただ税額控除の計算だけを暗記するとか、利ざやの計算ですとか、丸暗記の方法はやはり自分にはなじまぬものでした。

 これから2月26日の日商簿記試験2級に向けて勉強の続きをしますが、残っている工業簿記はまだ半分。残り半分の板書資料をプリントしましたが、自分が知っている範囲の工業簿記を遥かに超えているイメージが浮かびます。簿記、特に工業簿記はかなり構造的な作りで先生の説明も原理的で私はその方がフイットしますが(歳のせいでしょうね)、それでも、資料を見ていると難解に見える。超順調に考えると今月いっぱいで一通り終えられる計算ですが、それはまず無理。2月のどの辺までひっぱってしまうかですかね。

 今日は久しぶりに完全に勉強から離れ、DVDで映画を見ていました。スペインの監督、ビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』。この監督の作品は先にNHKBSプレミアムで再上映された『エル・スール』や、スペインのリアリズム絵画の大家、アントニオ・ロペスのマルメロの木を描く日々を淡々とドキュメンタリー的に描く『マルメロの陽光』。寡作を強いられている監督で、この3作しか基本に長編はありませんが、どれもえも言われない絵画的・詩的な名作で、説明の世界を超える映画と現実のあわいを見事に捉える本当に素晴らしい作家です。

 『ミツバチのささやき』も幼女とも言える少女の大きな目の美しいまなざしに魅了されるだけで価値を感じますが、良く考えてみればある種奇妙な作品であるとも言えます。だがぼくはこの作品を見ると何だか自分のこころが浄化される気がするのです。その意味では、少々変わっている人間なのかもしれませんが。

 ビクトル・エリセというこのスペインの監督の作品は映像美の向こうに実はスペイン内戦の時代やフランコ将軍の独裁時代など、スペインの抑圧された歴史が背景にあるのですが、そのような背景を知らないでも、映像の中にある深い部分やおそらく映画が持っている映像美のマジック、それはかなり古典的な方法を突き詰めた美しさだと思うのですが、そのようなマジックを見せることが出来る現代では稀有な作家なのではないでしょうか。

 彼の映画を見ると描く世界は日常の淡々とした描写が多いのですが、そこに一つ一つの物に対する人の扱いの丁寧さが素晴らしい。例えば『マルメロの陽光』では画家、アントニオ・ロペスがたわわに実ったマルメロがもうその重さで地に落ちようとする寸前のものを一つ。柔らかにもぎとり、その匂いを嗅ぐシーンとか、長編一作目の『ミツバチのささやき』にも一貫して物(対象物)とそれを扱う人の丁寧な手つきにとりあえず見ているぼくなどはほとほと感心してしまいます。
 いかにも、自分が日々、ものをかき集めては乱暴に扱っているか自覚しているので。。。食べ物を食べる行為も含めてですけれども。

 日々沢山の情報に接せられる時代。僕もその方法論を思い切り享受していますが、ビクトル・エリセ監督の作品と向き合う時間は心から集中して堪能できる本当に濃密な時間です。それ自体、自分にとって大げさに云えば奇跡的な感じです。

 いま、エリセ監督の作品は残念ながらレンタルで借りて見ることは出来ない。DVDのボックスセットでしか見ることはできません。そのうえ、『マルメロの陽光』に至っては、DVD化さえもされていません。ボックスセットで監督がインタビューに答えていますが、確かに映画を見る手法がどこか現代では変わっているのかもしれません。エリセ監督の意思を継ぐ監督の作品が生まれ、それを見る新しい映画ファンが生まれる状況があればいいなぁと思います。
 もちろん、それは沢山の違った手法の映画と等価で存在することが理想だということです。

2 件のコメント:

  1. アマゾンで注文してしまいました。
    してしまえば、今から楽しみです。

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  2. そうですか。購入されてしまいましたかー。
    期待は裏切らないと思いますけど、いかんせんちょいとばかり割高ですよね。あさとさんにとり、価値あるものになればと祈ります。
    「ミツバチのささやき」は同作に関するドキュメントDVDもついていて、当時のスペイン映画のニュー・ウェイヴも分かる構成になっていてそれも貴重です。

    「マルメロの陽光」という映画は公開当時、「ミツバチのささやき」の監督の作品とは知らず観に行きましたが、ミニシアターで無かったにもかかわらずかなりな盛況でこの地味目な作品でなぜ?と思ったのですが、今思い返せばエリセ監督の10年ぶりの作品ということで見に来ていた映画ファンが多かったのでしょうね。

    今回「エル・スール」で感動し、「ミツバチのささやき」の監督の作品なのねぇ、と調べていたらまさか大好きだった「マルメロの陽光」の監督と知ってびっくり。いま全体を見かえすと確かにそうかも、と思いますが、最初は意外な感じがしたものです。
    コメントが長くてすみません。<(_ _)> 堪能して下さいね。

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