2011年2月4日金曜日

クローズアップ現代 ひきこもり問題

 昨日のNHKクローズアップ現代でひきこもりの取材が番組としてとりあげられました。
 見た感想を率直に言えば「やれやれ。またブルースだな」ということでした。

 取り上げられたケースは、一つは九州の長期にわたるひきこもりの方。もう一つのケースはひきこもった人を徐々に馴らしながら正社員のような就業へと持っていく企業の取り組みでした。

 細かく言えば長文になるので今はとりあえずバッサリとしたことを書きますが、社会も本人も家族も同じ観念の中でくるくるまわっている、という意味では社会総体として一種の強迫観念に囚われれている。そういえるのではないでしょうか。その意味で平等に同じドツボにはまっているような気がします。

 乱暴なもの言いで申し訳ありません。乱暴ついでに言えば、私は極く少数の気の置けない人の前では「私が鳩山由紀夫さんの息子なら、あんな都会の人間関係や人いきれで酔いそうな場所では働かない。というか、働きたくなければ働かない」と言います。実際は鳩山さんの息子さんはアメリカの大学で教授をしていますが、偉くて大金持ちの子どもならそういう選択をする可能性もアリでしょう。

 一般庶民は基本的に賃労働者として働かないと生きていけない、というもう一つの現実が底では横たわっていて、マジョリテイである大衆にとっては、「働かざるもの喰うべからず」の実感が強いでしょう。マジョリティの共通認識がそのようなものとして確固としてあるので、あの著名な女性キャスターを筆頭にこの「問題」にみな眉間に皴を寄せてひそひそと、あるいは重く語られる話題となるのです。

 もちろん、重たいのです。自分も重たいのです。しかし、24時間、常住坐臥、重いわけでは勿論ないのです。笑ってたり、くだらない混ぜっ返しを言って家人から顰蹙を買ったり、上手そうにメシを喰ったり、鼻くそをほじってあくびをしたり、眠気覚ましにミンテアをかじってたりしているのです。そういう一面も普通の人間ですからあるわけです。同時に新聞を読んだり、ネットを見たり、外で情報や話を聞いて真面目なことを考えたりするのです。

 なんのことはない。両面あるという意味では、普通の人間の日常生活をただ、しているのです。もし仮に労働が神から与えられた使命とか、資本家に対するプロレタリアートの宿命か知りませんが、そんな「絶対的な命令」(?)を現在していない、ということを生きる意味に含むのなら、問題ある人間ということになるのでしょう。(NPOの活動もいま現在経済的価値を生まないものであるならば、ピュアで原理的な資本主義の思想でいえば、淘汰されるべき無価値な活動なのでしょうね)。

 人間をある側面から見る。もちろん重たい話題です。しかし30分で重たい状況から、先端IT企業の引きこもり者への会社適応活動まで網羅できるか。できやしません。重ければ、そこは本当の意味で長く深く一人の人間にクローズアップしなければ、その人の本質は見えてきません。

 それらがいわば(言葉がわるいですが)ひょいとメディアで流されるから、「難しいですね」とキャスターはいい、関心のある視聴者は重たくなったり、会社の偉い人は難渋した顔である種の観念を持ち、そしてその日の一日は流れていくのです。そして人びとは次の日また、別の話題に耳目をひかれるのです。(諸行無常の鐘の音とともに)。

 そもそも毎日「クローズアップ」される現代などあるでしょうか。私はこの番組はなかなかだ、と思うと同時にいつも思うのです。月曜日から木曜日までの30分。クローズアップされなければいけないような現実があるのか?実はクローズアップされる現代は「探されている」んじゃないのか。と、そう怪しんでいるのです。

 しかし、ひきこもり問題はきちんと啓発されてほしい。ここで自分の中にある矛盾する気持ちの中で引き裂かれます。

 自殺防止NPOであるライフリンクの代表、清水さんはNHKのデレクター時代にクローズアップ現代の自殺遺児の特集でこの問題に光を当ててほしいと願いました。しかし、番組自体はその後も自殺問題ばかりを扱えないという現実の壁にぶち当たります。そこで自分は普通の人よりは自殺遺児の人たちの気持ちが分かる。ならば自分でその防止活動を始めよう、と。そう思い立ったそうです。

 もちろん私はそんな力は露ほどもありませんが、時折マスメディアに住む誠実な記者魂を持つ人は居づらいんじゃないか、ある種の社会の実相と向き合った時、大きな組織的動きに追い付けないんじゃないか。そんな時、心底「フリーランスになりたい!」と思うんじゃないか、と想像するのです。
 そして、そう思ったとしても。
 日本でフリー記者になるというのは半端ではないリスクを伴うでしょう。

 ひきこもりに関する取材の成果。。。
 おやおや、話がどんどん飛躍していきます。いつもの癖で結論となる言葉が見つかりません。こんな感じで本日も穴をまくります。

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