「パーソナル・サポート・サービス検討委員会第1回会合(概要)」 (7月21日)
すでにUSTにてパーソナル・サポート・サービスのモデル事業二次募集の映像が上がっていますが、もしかしたらパーソナル・サポート(以下PS)というサービスの具体的イメージがいま一つ掴みにくいところもあるかもしれません。実際、自分が最初に見たときはそんな印象でした。時間を置いて再度改めて見直し、おおよそのイメージは掴めたつもりではありますが。
より具体的にどのような施策として具体化しようとしているか、そのための問題意識は何か、実現のための課題は何か等、ペーパーとして専門家たちが語っているものを読むほうがなお良いのではないかと思います。それが上記にリンクを貼った検討委員会の第1回目会合概要です。(PDF形式)
専門的なソーシャルワーカー、NPOの中心的な人たち等必見の会合概要です。
特に北九州でホームレス支援を行っている奥田ホームレス支援全国ネット理事長はUST映像でも一番勘所の良い発表をされていましたが、「絆の制度化」「(支援される)本人の自己有用感」というキーワードでPSのコーディネーターの役割を強調し、湯浅内閣参与の問題意識に一番近い場所にいるような気がします。
またライフリンクの清水氏はPSが心理サポートを行う場合を考え、どこまでがPSの心理的アプローチが出来る範囲なのか、その枠組みを明確にすべきと提案します。
東大大学院教授の本田由紀氏はさまざまな若者支援事業があるが、支援団体によって若者がある特定の性格を帯びた支援を受けることを心配していたので、このPSという制度に何か新しいメルクマール(道しるべ)になりえることを期待しつつ、かつ教育のあり方と労働市場のあり方の問題も同様に変わっていかなければならないと提案しています。
宮本みち子放送大学教授は若者支援の際に気づくのは若者の精神保健支援、障害支援の弱体性ということであり、その時期に抱えこんだ問題がそのまま放置されることによって、中年期問題が生まれる状況があると指摘。同時に海外ではすでにパーソナル・サポートの共通概念が生まれているとの先行事例を披瀝。
そして宮本太郎北大教授はこの取り組みは社会保障制度のあり方を刷新する可能性があるプロジェクトであると高く評価。
これまでの社会保障は個々の具体的事情よりも制度を優先したものであったが、いまや人生の典型的リスクというものはなく、実態は複数のリスクが複合的に現れて人びとの社会参加を困難にしている、もはや制度先行では立ち行かないと問題提起されています。
かように、社会保障制度や社会福祉制度におけるソーシャルサービスの、そしてNPO的に言えば「新しい公共」にも沿ったかなり斬新なプロジェクトだと思います。
その中で多くの参加者が問題提起するのはやはりパーソナル・サポーターの身分保障や経済的保障について。PSの役割に高い倫理意識と専門性を強調されており、かつある個人のサポートは同時に地域社会との関係性にも支障があるはずで、その際における地域社会のありようにも働きかけねばならない大変な作業であることを強調しています。
ペーパーを読みながら簡単な感想をと思いましたが、必要以上に説明が長くなってしまいました。どうか関心がある方はPDF形式ですがこの会合の様子を印刷するなどしてじっくり読み込む、そのような価値がある資料だと思いますので是非読んでいただきたいと思いまして、紹介させていただきました。個人的にはいま一番関心があるプロジェクトです。
なぜなら宮本北大教授が言うように、これが新しい社会保障制度の先行指標になる可能性と、「新しい公共」の真の新しさを具現化するモデル事業になりえるかもしれないということ。少なくともその方向での取り組みに視点が向いたことそれ自体に大きな意義を私は感じるからです。
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