2014年1月10日金曜日

年末年始に見た洋楽ドキュメント

 
 今年の大晦日と元旦、そしてここのところ、久しぶりにレンタル作品でミュージシャンのドキュメンタリービデオを見ていた。今の自分は映画は基本、ドキュメンタリー系が一番馴染みやすく、かつ洋楽音楽ファン(クラシック除く)。それゆえ、一本のライブ映像以外、3本の洋楽ミュージシャンのドキュメンタリー映画を見たが、実に、どれもが染みた。
 その三作はジョージ・ハリソン「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」、ジョン・レノン「ジョン・レノン・ニューヨーク」、ボブ。マーリー「ルーツ・オブ・レジェンド」、そして「シュガーマン 奇跡に愛された男」。
 いずれも最近DVDレンタル化された音楽ドキュメンタリーなのだけど、特に「シュガーマン」を筆頭にたまらなくよかった。
 
 ジョン・レノンのドキュメンタリー関連の作品は実に多いんだけど、今回はソロ二作目以後、妻、ヨーコの第二の故郷、アメリカニューヨークでの生活を描く部分に特化した作品。当時ニクソン政権下のジョン・レノンは政府のブラックリストに載っていて市民権をなかなか持てなかったことは有名だけど、いままでこの辺のアメリカ政治との確執は詳しくなかった。二作目のソロ、「イマジン」発表後に渡米するレノンだけど、今回これらの映像を見て驚いたのはアメリカ上陸直後からかなり強烈な政治運動家としてのレノンの姿が映し出されていること。アメリカのベトナム戦争などの反対運動を行なっている若者や、反体制運動の若者たちもレノンに対して上陸する前後から期待をしていた様子だし、レノン自身もこの時期が最も政治運動家、反戦運動家として自己表明をしたい要求に駆られていたと思われる。上陸して、すぐアジテーションを始めるレノンはかなり激しい。その激しさには彼自身の説得力のある声や姿勢(スタンスとルックス)がある。一言で言えば、カリスマ性がある。それゆえ、ニクソンに睨まれ、ブラックリストに載り、常に強制送還、あるいは露骨な嫌がらせで自らアメリカから離れるようにさせることを望んでいた政権の動きがあった。それでも踏んばるレノン夫妻。
 
 しかし、ニクソン再選の知らせの直後、完全に落ち込んだレノンはオノ・ヨーコが目に見える場で別の女性と寝てしまう。僕は今までヨーコと別居して青年期に戻った堕落?期の”ロスト・ウィークエンド”期は彼らのあいだに紆余曲折があっての末、と思っていたんだけど、意外とダイレクトでストレートなレノンの背信行為?によるものと知って、レノンの直情径行ぶりに、変に拍子抜けしてしまった。それだけ自分自身と外部の圧力で緊張が高まり、シリアスになりすぎてしまった反動が出たのかもしれない。レノン場合、それが普通よりも余りに振幅が激しいし、エネルギーがパワフルなので、追いつけないところもある。まあ、その後またジョンはニューヨークに戻ってヨーコと再会、ヨリを戻して子どもが出来て、ハウスハズバンド。一時引退状態、となるわけで。。。それが、80年。まさにStrating Over。「ダブル・ファンタジー」で復帰した途端、射殺されてしまう。。。
 
 こう考えるとアメリカでのジョン・レノンの経過は、激しい政治アジテーター⇒放埒なナイトライフ(西海岸へ)⇒穏やかな子育て期⇒音楽業界第一線に復帰。その途端に殺される。。。という何とも振幅の激しいアメリカでの生活。でも、この生活もすべてニューヨークに上陸した30代前半に起きたわけで、短い一生、20代で英国ポップの王様、そしてニューヨークを軸に全く違うような第二の人生という感じで、実に密度が高い生涯だったと言えるし、ビートルズでの青春は他のメンバーと共に歩み、アメリカでの生活では一層、妻であるヨーコに依存してたカリスマだったんだなあと思う。
 そんな感想を持ちました。

 持ちました、とさ・・・、という感じで、実は「シュガーマン・奇跡に愛された男」について書くのが主目的だったハズなのに、ジョン・レノンだけでここまで書いてしまった。。。
 昨年の「秘密と謎」も放り出したまま、別のテーマに取り掛かったら、これも一回で終わるはずが予定外。
 こちらの音楽ドキュメント映画の感想は続けられると思うので、中途放棄せず(なるべくね)、今後も書きます。書きたい気持ちはありますので、すみません。

 なお、今寝かせてしまっているほかの二つのブログがあります。そのうちの洋楽中心ブログにこの記事は同様に載せます。常に同時に書くかはわかりません。「シュガーマン」は味わい深い他の作品と比較しても、格別に感動した映画なので、このブログには感想を書きます。それ以外の二作はこちらのブログを選択して書くかもしれません。